概要

本研究室では,主に新素材の実用化と医療診断・治療の支援を目標とした研究を行っています.

新素材の実用化を目指す研究では,形状記憶合金,マグネシウム合金,およびバルク金属ガラスといった近年産業応用的にも注目されている機能性材料の力学特性を実験的に調査しています.試験材料に対して,軸力とねじりを同時に負荷することのできる環境制御型複合負荷力学試験機(写真1、2)を活用し,一般負荷条件下における降伏条件の提示や変形特性・変形メカニズムの解明などを試みています.また,診断・治療支援を目指す研究では,“心筋壁運動の力学的解析結果に基づいた新しい心疾患診断指標の提案”や“脊椎運動の力学的解析による体内固定具の性能評価”などのテーマに取り組んでいます.ここでは,これら医工連携のテーマを紹介します.

写真1

写真2

 

心筋壁運動の力学的評価

心臓は全身の組織および器官に血液を駆出するポンプの役割を果たしており,その駆出力は心筋壁を構成している心筋線維が収縮することにより得られます.したがって,心筋壁の収縮運動を力学的観点より評価することは,心機能を解明する上での重要な課題の一つであるとともに,心筋壁運動を記述する物理量は,心疾患の重症度やその治療効果を定量的に把握するための一助となり得ると考えられます.このような背景から本研究では,非侵襲・非観血的な心筋壁運動計測手法の一つであるMRI(磁気共鳴画像診断装置)のtagging法を用いて,ヒト左心室における心筋壁の収縮運動を力学的に解析することにより,心筋壁運動の局所的・定量的評価を試みるとともに,本手法より取得される力学量の心疾患診断指標としての臨床有用性を検討しています(写真3).

写真3

脊椎運動の力学的評価

ヒトは脊椎動物の仲間です.脊椎とは一般的には背骨のことで,24個の椎体とそれを連結する椎間板や靭帯によって構成されています.この脊椎は,体を支える働き,体に屈曲や回旋等の柔軟な動きを与える働き,脊椎の中を走る神経を保護する働きの3つの重要な役割を担っています.脊椎が病気や怪我によって損傷を受けて不安定になったときは,体内固定具と呼ばれる金属の器具で損傷した脊椎を固定する手術を行います.そのため,「損傷によって脊椎がどのくらい不安定になるのか?」や,「器具によってどのくらい不安定性が解消されるのか?」を正確に把握することは,適切な診断・治療を行う上でとても重要です.そこで本研究では,本研究室オリジナルの脊椎強度測定用6軸材料試験機(写真4)を用いて,脊椎運動を力学的観点より定量的に評価することにより,適切な体内固定具の開発や脊椎固定術における新たな術式の提案などのテーマに精力的に取り組んでいます.

写真4

メンバー

教授

稲葉忠司

准教授

吉川高正

技官

中村昇二

在籍学生

大学院博士後期課程2年生・1名
博士前期課程2年生・5名
同1年生・5名 学部4年生・10名